このチャレンジもいよいよ3晩目に突入しました。
このチャレンジをやる前は、3日目の夜になったらどれほどの眠気が襲ってくるんだろうと思っていましたが、三本松をスタートした時はそれほどの眠気はありませんでした。
ここからは、前の区間からペーサーをしてくれている鈴木さんと川治温泉からすでに80km
近くを走ってくれている豊嶋さんの二人がペーサーとして付いてくれました。
この区間は今までの区間の中でも最長の時間になることは予測していました。
三本松をスタートして、まずは戦場ヶ原エリアを通過していきます。
本当なら標高1667mの高山という山を経由して中禅寺湖畔に下りる予定でしたが、その時は通行止めの区間がありそのルートを通ることができず、戦場ヶ原の中をぐるっと回っていかなければいけませんでした。
そのおかげで距離は伸び、累積は若干少なくなりました。
単調なロード区間とトレイルをみんなとおしゃべりをしながら進み、なんとか黒檜岳の登山口に到着しました。
もうここの時点ではフラットな場所もほぼ歩きに・・・
黒檜岳は中禅寺湖南岸の山で、山と高原地図だと破線になるコースです。
昼間行ってもちょっと分かりづらいところがあり、また高低差700mの急登も続くため精神的にも肉体的にもキツくなる場所だろうなぁと思っていました。
ここ黒檜岳は1週間前に鈴木さんが下見をしておいてくれていたので、鈴木さんが先頭でルートファイディングをしてくれていました。
私はただただ何も考えずに鈴木さんに着いていくのみ。
とにかく淡々と足を前に出すだけ。
時間は深夜0時を回っていた頃だと思います。
この黒檜岳の登りでまた急激な眠気に襲われ始めました。
とにかく眠くて眠くて、歩きながら寝てしまう。
ここでまた5分ほどの睡眠小休止をとることにしました。
急斜面の中でもちょっとでも平らな場所を探して寝転がりました。
この黒檜岳区間では5分睡眠を2回ほどとりました。
それで完全に眠気が飛ぶわけではないけど、5分寝ればだいぶマシになります。
そしてひたすら登り続け、斜面がだんだんと平らになっていき、黒檜岳山頂付近に到着しました。
"黒檜岳付近"としたのは、実際には黒檜岳山頂は踏まずに、その手前の社山へ向かう分岐でそのまま社山方面へ向かったからです。分岐から黒檜岳山頂まではほぼ標高も変わらないし、距離も100mないぐらいですが、その距離すら余計に進みたくないというのが本音でした。
この分岐から再び樹林の中を進むと、広い稜線に出ます。
笹がけっこう深い稜線なのですが、お天気が良い日は本当に絶景が広がる稜線で、私が日光の中でも好きなトレイルの一つです。
ただ、この時は真っ暗だし、しかもこの深い笹が厄介で、ここまで体力を削られた体には笹をかき分けて進むのが本当に辛く、なかなか前に進んでいる気がしません。
また、笹に隠れた気の根っこにもいつも以上に引っかかり、何度か転んだりもしました。
この時間帯は、体力的に本当にキツかったです。
眠さ、疲れ、足の痛み、気力、体力、全てが限界に感じていました。
この笹の中で
「もうこれ以上進みたくないー!!!」
って叫びたくなりました。
でも、そんな全てが限界に達しようとしていた時、空がだんだんと明るくなってきました。
それと同時に社山山頂へ到着。
そして、男体山と雲海、朝焼けが目の前に現れました。
その景色が本当に美しくて、泣きたくなるぐらいの絶景でした。
疲労は本当にピークだったけど、今日この日のこの時間この場所にいられることが本当に幸せに感じられて、足の痛みや疲労が吹っ飛びはしなかったけど、私の気持ちはこの景色に救われました。
中禅寺湖に浮かび上がる男体山
この景色が見られて気持ちも回復!
男体山を見て「これからあの山登るんだよな〜」って笑えちゃうぐらい、山の景色のおかげで私の気持ちは立て直せていたのですが、この時私の足裏の痛みがかなり酷くなっていて、特に社山からの急な下りで痛みが増してきてしまいました。
湖畔に下りて、特にロードの区間では一歩も走れないぐらい、ロードの硬さと衝撃に足裏が耐えられなくなっていました。
あまりの痛さにこの時私の気持ちに迷いが生じてきました。
ゴールまでは残りあと20kmちょっと。
でもこのあと20kmちょっとが今までのどの区間よりもキツいコースであることを私は知っています。急登急下りが繰り返され、2000m峰を4つ越えるこの区間。
私の今のこの状態でその厳しい山々を越えていけるのか・・・
そんなことを考えながら、とりあえずサポート地点の二荒山神社中宮祠へ向かいました。
スタートから二荒山神社まで
距離:220km
獲得標高:13396m
時間:69時間15分
睡眠時間:2時間24分
続きは⑩男体山へ
Yukari Hoshino
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